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症状・不調

【早期発見が大事】子宮の病気を知って自分のからだと向き合って

生理痛やお腹の痛み、不正出血などの不調を感じて、子宮の病気が気になったり不安を感じたりしている方もいらっしゃるかもしれません。具体的にはどのような病気があるのでしょうか。産婦人科医の高尾美穂先生より、子宮の病気や婦人科へのかかり方などについてアドバイスをいただきました。

女性に起こりやすい子宮の病気を知っておこう

正常な月経(生理)は一般的に25~38日周期で起こります。女性ホルモンが乱れる更年期や子宮が未成熟な思春期以外で頻繁に生理不順が起こる場合は、問題がないか調べておいた方がいいでしょう。代表的な子宮の病気について紹介していきます。

1:子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)

女性ホルモンの働きのひとつに、子宮内に子宮内膜を増殖させ、妊娠できる環境をととのえるということがあります。その内膜に似た組織が子宮以外に増えてしまうことを「子宮内膜症」といいます。
子宮内に準備された内膜は、妊娠成立しなければ月経(生理)として排出できますが、子宮外で増殖した場合は排出できずに痛みや不妊の原因となります。
病巣はさまざまな部位にでき、卵巣に発生すると古い血液成分が溶けたチョコレートにように見えることから「チョコレートのう胞」と呼ばれます。

2:子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)

子宮筋腫は子宮の壁にできる良性のこぶのことです。大きさもさまざまで、小さな筋腫は自覚症状がほとんどありません。
ただし、大きくなると膀胱や直腸などを圧迫したり、筋腫の場所によっては過多月経を引き起こしたりすることもあります。
日常生活に支障がなければ経過観察が一般的ですが、サイズが大きい場合はごくまれに悪性であることもあり、定期的な婦人科への受診が必要になります。

3:卵巣のう腫(らんそうのうしゅ)

卵巣にできる良性の腫瘍(しゅよう)のことを「卵巣のう腫」といいます。卵巣のう腫はいくつか種類があり、内部が水のような液体がたまる「漿液(しょうえき)性のう腫」や髪の毛や皮脂がたまる「皮様(ひよう)のう腫」など、若い世代にも比較的多く発症する病例です。
小さなうちは自覚症状がなく経過観察が多いですが、腫瘍が急に大きくなることもあるため定期的な受診は必要です。

4:子宮頸がん(しきゅうけいがん)

子宮の入り口にできるがんのことを「子宮頸がん」といい、20代でも発症する若い人にも多いがんです。性交渉によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされることがほとんどで、性交渉の経験があれば誰でも感染リスクがあります。
現在はHPVの感染を予防できるワクチン接種がすすめられており、がんに進行する前の段階で発見でき、治療することも可能です。
からだを傷つけることのない検査なので、定期的な検査を受けるようにしましょう。

不正出血とは?

月経(生理)時以外で出血することを「不正出血」といい、病気のサインである場合もあります。

ピルなどのホルモン治療中の出血であれば、ホルモン剤による出血である可能性が高く、ホルモン治療継続のために基本的な検査があらかじめ行われていることが多いので、そこまで心配はいりません。腟から出血していても病的な原因がなく、ホルモンバランスの乱れなどが原因で起こる出血を「機能性出血」といい、この場合はホルモン剤などで治療をすることが多いです。
ただし、子宮筋腫や子宮体がんなどの病気の可能性がある「器質性出血」もあるため、長く続くときや繰り返すときは婦人科を受診しましょう。自分のからだと向き合い、小さな不調や違和感を見過ごさないようにしてほしいと思います。

不正出血がなくても、年1回は子宮頸がん検査や超音波検査を受けておくと安心です。

原因が特定できない不調も多い

「不正出血があって検診を受けたけれど“異常なし”といわれた」という方もいるかもしれません。“異常なし”の意味は、不正出血を引き起こす命に関わる病気はなかった、と理解していただくとよいでしょう。不調を感じ、病院にいけば原因が見つかると思っている方も多いと思います。

そうできる病院でありたいと思っていますが、はっきりとした原因を見つけられない不調や病気もあることを知っておいてください。筋腫がある、腫瘍があるなど検査ではっきりと異常を指摘できることもありますが、不調の原因がすぐにわかるということは、そこまで多くありません。

血液検査でのホルモン値の結果も時々刻々変化する数値であり、日々の変化を追っていかないとわからないことが多いのです。

とはいえ、「病院に行ってもわからないから」と決めつけないで、日々の不調や小さな違和感を放っておかないようにしてください。

婦人科が怖い人へのアドバイス スマートな婦人科のかかり方は?

婦人科に行くのはなんとなく抵抗があるという方もいると思います。
内診が恥ずかしいと感じている方は、他の方法がないか、相談いただくこともできますし、診察がカーテンで見えなくて恐怖心を感じるのであれば、内診台のカーテンを開けることもできます。
また、診察をスムーズにするには、自分が伝えたいことを箇条書きにして持っていくことをおすすめします。診察時にすべて話そうとしても、伝え忘れたり、頭が真っ白になってしまったりすることもあるでしょう。相談したいことをメモしておけば、医師はその中から大事なキーワードを見つけ、適切な診療を行ってくれるでしょう。

日々自分のからだと向き合い、気になる変化や症状があったら臆せず婦人科で相談してみてください。

(産婦人科医・高尾美穂)

高尾美穂先生のプロフィールはこちら

(参考)
高尾美穂著:『女性ホルモンにいいこと大全 オトナ女子をラクにする心とからだの本』(扶桑社)
高尾美穂著:『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)
高尾美穂著:『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP)