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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則142
夕食の炭水化物と睡眠の関係
眠る直前に食事をしない方がよい、
ということは広く知られていますが、
食事の時間帯だけでなく、
食事内容と睡眠の関係についても、
明らかになってきていることがあります。
夕食に、炭水化物を食べると、
睡眠の質に変化が起こる、というのです。

夕食に炭水化物を摂取したグループは、
そうでないグループに比べて、
深い睡眠の割合が減り、
レム睡眠の割合が多くなりました。
深い睡眠は、
体を回復させる成長ホルモンの分泌が多く、
代謝率も下がるため、
体を休めるのに重要な役割を持っています。
レム睡眠は、
前日までの学習を促進したり、
不要な記憶を消去したりする働きがありますが、
心拍数や血圧の変動が激しいため、
その割合が増えると、疲れがとれにくくなります。
つまり、
夕食の炭水化物摂取が多いと、
睡眠の質に変化が生じて、
翌朝、疲れがとれにくくなる、といえそうです。
炭水化物を食べると眠くなるので、
寝やすくするため食べている、という方もいるかもしれません。
この実験でも、
就寝してから入眠までの時間は短くなっていましたが、
睡眠の構造が変わったり、目覚めてから起きるまでが遅くなったりするという結果が
得られています。
夜に眠くならないから、
寝つきに炭水化物を食べよう、という発想は、
慢性的に疲れる原因になるかもしれません。
では、
炭水化物が悪者なのか、というと
そうとも言えません。
極端に炭水化物を制限すると、
眠る前に、無意識に余った食事やお菓子を食べてしまう症状が現れることもあります。
睡眠関連摂食障害と呼ばれ、
眠る前になると衝動的に食べてしまい、
行動を抑えることができなくなります。
この場合は、
睡眠のリズムを整えながら、
炭水化物を食べる順番を最後にして、
極端な血糖値の上昇を防ぐと消失していくことがあります。
長距離ランナーや持久系の競技のアスリートは、
炭水化物の摂取が少ないと、
睡眠の質が悪くなる。
また、夕食から就寝までの時間が長くなるほど、
睡眠の質が悪くなる、という結果も出ています。
これには、睡眠中に血糖値が低下し過ぎることが関係しているのかも
しれません。
運動量が多い方は、
炭水化物制限で睡眠の質が悪くなる、ということも
知っておくとよいと思います。
朝起きたときの睡眠の満足感を観察して、
炭水化物の量と食べる順番を調整してみましょう。

作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
著書:あなたの人生を変える睡眠の法則2.0
イラスト/菅原洋平
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